【塾長ブログ】国の借金ってやばいの!? 皆が誤解しているお金の話
今日は「国の借金ってヤバいの?」というお話をしていきたいと思います。
先日、ある高校生から「学校の授業で、国の借金が(国民)1人あたり約850万円もあるって習ったんですけど、これって僕らが返すやつなんですか?」という質問をいただきました。
これと似た質問は、毎年と言ってよいほど聞くのですが... 先生が伝えたかった事実と生徒が受け取った意味に若干の相違があるように思うのです。決してその道のスペシャリストではありませんが、経営のゼネラリストとして小学生でも分かるように解説してみたいと思います。
その前に...少しお話は変わりますが、皆さんは借金をしたことがありますか?
「ない!」という人も多いと思いますが、本当にそうでしょうか? お父さんやお母さんからお小遣いを前借りしたという経験がある人もいるでしょう。(私もその一人です。)
当然ですが、この時、お金を貸す側の人(お父さん・お母さん)と借りる側の人(自分)がいるわけです。そもそも、お金を借りる人がいて貸す人がいないのではお金の貸し借りは成立しませんからね。
何が言いたいのかというと、国(つまり政府)の借金に対してもお金を貸している人がいるということです。
では誰が貸しているのでしょうか?
日本銀行の資金循環データ,四半期計数(2017年第4四半期の暫定値)つまり、今年(2018年)3月に更新された国のお金に関する情況の一覧表に「日本国国債の保有者別内訳」というものが載っています。分かりやすくいえば、「誰が政府にお金を貸しているか」がまとめられている資料があるということです。
これによれば、最も割合が高いのは、皆さんが普段から目にする(利用する)銀行で、43.3%となっていました。ちなみにそれ以下は、43.2%が中央銀行、6.1%が海外、4.7%が社会保険基金といった感じに続きます。
つまり、政府にお金を貸している人は銀行なわけです。当然ですが、銀行は(貸せるだけの)お金がないと国にお金を貸すことができません。そのお金はどうしているのでしょうか?
もうお分かりかと思います。私たちが預けているお金(預金)を使ってお金を貸しているのです。これは高校の政治経済で学習する「間接金融」と呼ばれるものです。
そろそろまとめていきましょう。ポイントは次の2点です。
・私たちが銀行に預けたお金を、銀行が政府に貸している
・政府は銀行からお金を借りている
であるならば、政府の借金に対してお金を貸しているのは国民なわけですから、国民に借金があるという考え方は間違いかもしれませんね。
イメージをしやすくすると、お父さん・お母さんから自分がお金を借りているのに、お父さん・お母さんが借金をしているとはならないのと同じです。
確かに、昨年の11月、政府の借金が2017年9月末時点で1080兆4405億円あったと財務省が発表しています。これを国民の総数(1億2672万人)で割ると、1人あたり約852万円になります。だからと言って、皆さんが852万円を返さなくてはならないというわけではないのですよ!
おそらく学校の先生は、「これくらい巨額の借金をしているんだ」と言いたかったのだと思います。
小中高生の皆さん、ぜひお金の貸し借りには、お金を貸す側と借りる側がいるということを前提に、誰が・誰にお金を貸しているのか考えてみてくださいね!
いつもと少しテイストの違うブログでしたが、少し面白いテーマだったのでご紹介しました!
難しいことを簡単に!
私たちが目指すべきことです。
塾長:新井
電話:0480-53-8882(月~土・14時00分~22時30分)
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【余談ですが...】
本質的には、これがどの通貨ベースで取引されているのか、金利がどういう情況なのかなど、掘り下げるポイントがあるように思います。そうすることで、なぜ日本国債を買う人がいるのか、通貨のパワーバランスはどうなっているのか、実在通貨と仮想通貨の関係性などが見えてくると思います。興味がある人はぜひ、お声がけくださいね!